仲間がいたから続けてこれた

私がフリーランスを長く続けてこられた一番の理由は、フリーランスの仲間をつくって仕事をしてきたからです。これに尽きます。

最初は、自宅で書き、メールで納品する「ひとりきり」で仕事をするスタイルでした。

そのうち、ある会社の外注スタッフとして、カタログや社史などの年史をつくる仕事をするようになりました。案件ごとに仕事をする業務委託契約だったので、出社や退勤する時間にしばりはなく、並行して別の会社の仕事を請け負うことも自由です。

その会社には同世代の従業員がいたので、ひとりで仕事をするよりも楽しく、「自分は人と一緒に仕事をするほうが向いているのかも」と感じました。

その後、別の会社でも、業務委託契約で数名の編集者と情報誌をつくる仕事をしました。いろいろな人と知恵を出し合うことで、よりよいものをつくりあげる雑誌編集は私の好きな仕事のひとつで、このときも充実感がありました。

円陣を組んで手を重ねる人々
写真=iStock.com/EyeEm Mobile GmbH
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決定権が自分にある

「だったらフリーランスをやめて、編プロや出版社に就職すればよかったのではないか?」という声も聞こえてきそうです。

しかし、社員になると会社の意向に沿った仕事が優先され、苦手な案件もしなければなりません。それは避けたかったのです。

フリーランスであれば、自分に決定権があり、やりたい仕事とそうでない仕事を選ぶことができます。時間も自分でコントロールできます。

私にフリーランスとしてやっていけそうなスキルがまったくなかったら、会社員の立場を選んだかもしれません。その点は、編プロでの激務によって鍛えられ、土台ができたことが奏功そうこうしたように思います。

そもそもサラリーマン家庭に育っていなかったこともあり、「勤める」というスタイルになじめなかった気もします。「社員」という選択肢はありませんでした。