自分自身を追い込んでしまったら絶対ダメ

「長期にわたり、一貫して」という言い方は重複表現のように聞こえるかもしれない。だが実は「長期にわたり」と「一貫して」は、似て非なる意味を持つ

ハイパフォーマーなら、10年間努力を重ねてきた末に、最後の最後で成功するといった、ラストスパートで成功のフィニッシュラインを突破するようなサプライズウィナーにはならない。彼らは繰り返し期待を上回る仕事をする。彼らの努力には、同僚には真似できない一貫性があるのだ。

この「長期にわたり、一貫して、標準的基準を超えた成功を収める」には、自分の心身の幸せを守り、良好な人間関係を維持し、他者に貢献しながらレベルアップできるようになる習慣が必要だ。自分自身を追い込んでしまっては、基準を上回る成果は出せない。

ノートパソコンの前で疲れた表情をするビジネスウーマン
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「強みに集中せよ」とか「1万時間の法則」といった、よく知られた教えでは対応しきれないのはここだ。すばらしい強みを持っているが、成功を追い求めるあまり健康を害し、パフォーマンスを維持できない人はたくさんいる。

また、練習に異常なほど打ち込んだり、時間をかけたりするあまり、自分の持続的成長を支えてくれるはずの人間関係を棒に振ってしまう人も多い。

上達を助けてくれていたコーチを遠ざけてしまう、恋人や配偶者との関係が壊れる、感情的にも疲弊して続けられなくなる、投資家を怒らせ、成長し続けるための資金が入ってこなくなる、といった事態に陥るのだ。

あなたには、成功するだけでなく、ポジティブな感情と人間関係に満ちた健全な人生を送ってもらいたい。

人生のあらゆる領域で優位に立ち、豊かにする習慣

高いパフォーマンスを出すことは、私が定義しているとおり、またデータでも裏づけられているとおり、なんとしてでも競争に勝とうとするものではない。人生のあらゆる領域で優位に立ち、それらを豊かにする習慣を身につけることを最重要課題とする。

本書の提唱する習慣は、個人だけでなくチームや組織にも有効だ。

今、経営幹部の多くが、エンゲージメントやパフォーマンスの低い企業文化と闘っている。彼らは大胆なビジョンを持って、社員を駆り立てたいと躍起になっている一方で、社員が燃え尽きていることに気づいてもいる。本書から、自社を健全化し、パフォーマンスを発揮できる可能性を知ることができるはずだ。

自社の卓越性を強化したいリーダーに伝えたい。これを実践すれば、あなたの組織はきっと前回よりも健全に、迅速に、自信を持って、一段階上の成功に到達できる。

より良い生き方やリーダーシップは存在し、その方法は解明されている。本書で紹介する習慣は、的確で、実行可能で、再現性、拡張性があり、持続可能である。