寝る前の「ぐっすりストレッチ」で深睡眠へ誘う

まず、「眠りやすい状態」を自分で作ることができる、2つの「ぐっすりストレッチ」をご紹介しましょう。

・布団に入る直前の腕回しストレッチ・1分
①腕を曲げて肘を上げ、後ろへ大きくゆっくり回します。
(このとき、肩甲骨を寄せるつもりで回すのがポイントです。)
②肘が体の前にきたら、手を組んで腕を前へ伸ばします。
③伸ばした腕を頭の上へ持ってきて、伸びをするように上へ伸ばします。
④もう一度、曲げた腕を後ろに回します。
①~④を1分間かけて5、6回繰り返しましょう。

このストレッチは、布団に入る直前に行ってください。肩甲骨や腕には、熱を作り出す褐色かっしょく脂肪細胞が集まっています。これをストレッチで刺激することによって、深部体温が上がりやすくなるのです。さらに、肩周りの緊張がほぐれることで、リラックス効果も得られます。

部屋のベッドに一人で座り、夜に窓から覗く女性の背面図
写真=iStock.com/recep-bg
※写真はイメージです
・布団のなかで足首の曲げ伸ばしストレッチ・1分
①鼻からゆっくりと息を吸いながら、足首を手前に起こします。
②口からゆっくりと息を吐きながら、足首を元の位置へ戻します。
①~②を1分間かけて繰り返します。

こちらは布団に入り、寝る寸前に行います。足首のストレッチを行うと血行が促され、ひとつめのストレッチで上げた深部体温を効率よく下げることができます。

「いびき=熟睡」ではない

布団のなかで寝る寸前に行えば、スムーズに寝つけるようになるでしょう。もし足首に痛みを感じる場合は、鼻呼吸だけを行うようにしてください。

よい睡眠には深部体温と自律神経が関わっています。

これらのストレッチをすることで、深部体温が下がり、自律神経が副交感神経優位になることで、寝つきがよくなり、睡眠の質も上がります。

これらのストレッチのポイントは、激しい運動ではないという点です。

日中の運動は夜の熟睡に効果的ですが、寝る直前に筋トレのような激しい運動をすると、交感神経が優位になって逆に眠りにくくなってしまいます。寝る前には、このくらいの穏やかなストレッチのほうがリラックスしやすく、睡眠に効果的なのです。

また、毎日繰り返して行い、習慣化することで入眠効果はさらにアップします。続けるうちに「このストレッチをしたあとには眠る」と脳が学習するので、条件反射的に眠れるようになっていきますので、ぜひ習慣化してみてください。

よい睡眠をとるためには、いびきの改善も必要です。大いびきをかいていると熟睡しているように見えますが、じつはそうではありません。

いびきとは、睡眠中に気道がふさがって空気が通りにくくなっているために音が出ている現象をいいます。つまり、呼吸がしにくい状態なので、よく眠れず日中ボーッとする原因にもなりやすいのです。