夏休み後に成績が伸びる人の共通点

多くの東大生は勉強すること自体に抵抗感がありません。それは親や周囲から押し付けられずに、勉強が「習慣化」できているということも大きな要因のように思えます。

勉強時間を固定することは、多くの東大生の家庭で実施されていたようです。

以前、私の会社で300人超の東大生にアンケートを取った結果、81%の東大生たちが、「小学生の頃、放課後から夕食の間に勉強した」と回答しました。小学生の間は、夕食の後は自由に遊んで、勉強もそれでおしまいにしておくのです。

ただし、やるべきことを終わらせなくてもいいということではなく、宿題や日々の勉強は「放課後から夕食までの時間」に終わらせるというように、制限時間内に終わらせるように勉強する、ということをしていたわけです。

「夕食」というタイムリミットは、小学生にとって、わかりやすいものですね。このように毎日同じ時間に勉強をする習慣がついていれば、身体がそれを覚えて、勉強を自然と続けられるようになるわけです。

「起きたら顔を洗う」習慣同様、「学校や学童、習い事から帰宅したら夕食まではテキストを開く」「○時になったら机に向かってテキストを開く」といった具合に習慣化してしまえば、モチベーションに頼らなくても勉強ができるようになります。

「勉強のハードル」を上げてしまった人は要注意

では、夏休み後に成績が行き詰まる人はどんな人でしょうか。

先述した夏休みに勉強を習慣化できず、「勉強のハードル」を自分で上げてしまった人が一つ目のパターンです。勉強する、机に向かうことがおっくうになると、どうしても「イヤイヤ」取り組むことになり、集中力に欠け、結果的に長時間机に向かっていても身につかない、ということもよくあります。

ハードル
写真=iStock.com/Paul Bradbury
※写真はイメージです

もう一つは、勉強の方法に特徴があります。本稿では、大学の受験勉強を例に挙げたいと思います。

みなさんはどっちの受験生のほうが、夏休み以降に成績が上がりやすいと思いますか?

A……第1志望一直線で勉強していて、第1志望のための勉強をする受験生
B……第1志望の大学の対策だけだと怖いので、第2志望やそれ以外の志望大学の過去問を解く勉強をする受験生

現役東大生を中心に教育支援事業を行う私たちは、毎年1000人程度の受験生に対して勉強を教え、駿台予備校では80人ほどの浪人生をサポートしています。そんな中で、ベテランの先生たちとも相談しながら、夏以降の学習指導のあり方を考える中で、毎回問題になるのが、先ほどのクイズの2択です。要するに、「第1志望に専念させるか、第2志望の対策もしてもらうのか」という問いですね。

結論から言うと、この質問の答えはBです。第2志望の勉強もしっかりと実行している人の方が、結果的に第1志望の大学にも合格しやすいのです。

誤解しないでいただきたいのですが、別に「第1志望の合格を諦めて、第2志望に全力投球をした方が、第2志望に合格しやすい」という話ではありません。むしろその逆です。第2志望の対策をしっかりする受験生のほうが、第1志望に合格しやすいのです。