夏休み最終日に宿題で泣く人の心理

このような楽観主義の悪影響は、もしかしたら「先延ばし」を経由しているかもしれません。面白い実験を紹介しましょう。

山根承子『努力は仕組み化できる』(日経BP)
山根承子『努力は仕組み化できる』(日経BP)

被験者は実験室に入り、まず「課題文」を読みます。そのあとで、課題文の内容に関連した簡単なタスクを行います。

このタスクは30分ほどかかるものだと知らされているのですが、いつ始めるかは被験者が自由に決めることができました。「課題文」には楽しそうなものと楽しくなさそうなものの2種類があり、どちらを読むかはランダムに決定されていました。

「楽しそうな課題」は、ある女子大学生が、今夢中になっている先生への思いの丈を書きつづった日記で、「楽しくなさそうな課題」は、工場で用いられる新しい機具に関する技術的なレビューでした。

そして、この部屋には面白い映画が常に流れており、それを見てタスクを「先延ばし」することが可能になっていました。

結果、楽観的な人ほど、「楽しくなさそうな課題」を先延ばしすることがわかりました。いつも先延ばししていたのではなく、「楽しくなさそうな課題」のときだけ先延ばししていたのです。

先延ばしは努力の敵です。楽観から生まれた先延ばしが、あなたを努力から遠ざけているのかもしれません。

※参考文献
・Puri, M., and Robinson, D.T. (2007) “Optimism and economic choice” Journal of Financial Economics, vol. 86(1), pp. 71–99.
・Weinstein, N.D., Marcus, S.E., and Moser, R.P. (2005) “Smokersʼ unrealistic optimism about their risk” Tobacco Control, vol. 14(1), pp. 55–59.
・Weinstein, N.D. (1980) “Unrealistic Optimism About Future Life Events” Journal of Personality and Social Psychology, vol. 39(5), pp. 806–820.
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・Hmieleski, K.M. and Baron, R.A. (2009) “Entrepreneursʼ Optimism and New Venture Performance: A Social Cognitive Perspective” Academy of Management Journal, vol. 52(3), pp. 473–488.
・Sigall, H., Kruglanski, A., and Fyock, J. (2000) “Wishful Thinking and Procrastination” Journal of Social Behavior and Personality, vol. 15(5). pp.283–296.

(図版制作=キャップス)
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