成功する人に共通する特徴は何か。行動経済学のコンサルティングを行う山根承子さんは「運の捉え方や幸運の自覚は、努力に大きく影響する。『自分は幸運だ』『どうにかなるさ』というポジティブさは美徳である一方、努力を妨げてしまう悪癖となる可能性がある。また、『たまたまうまくいっただけ』という人ほど、見えない努力をしている可能性が高い。様々な研究が示しているように、成功するのは『運がいい人』ではなく『必要な努力ができる人』である」という――。

※本稿は、山根承子『努力は仕組み化できる』(日経BP)の一部を再編集したものです。

ソファでリラックスする女性
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運がいい人ほど成功しづらい? 調査が示す残念な結論

ここまで、努力と運の関係を見てきましたが、多くの人が自分の「運」を意識するのはいつでしょうか。いつも意識している人もいるでしょうが、多いのはおみくじを引いたときや厄年になったときなどではないでしょうか。

また、ビジネス成功者の話でもたびたび「運」という言葉を目にします。「成功したければ幸運だと思い込むべきだ」という話や、面接で運を尋ねられたら「自分は運がいい」と言ったほうがいいという話、「成功の最後の決め手は結局、運だ」というような主張を見たことがある人も多いかもしれません。

しかし、「努力」という観点からは、「幸運だと思い込む」ことは本当にいいことなのでしょうか。自分の力よりも「運」の力を頼りにする外的統制は、努力しにくいという結果をいくつか紹介してきました。

同じように、「幸運だ」という自覚も、努力を妨げているのではないでしょうか。