人を努力から遠ざける考え方
運の存在を信じていない人、つまり「運があろうがなかろうが、とにかく自分の力次第だ」という人はもちろん努力するでしょう。彼らにとって成功に向かう道はただ1つ、自分の努力だけだからです。
しかし、「自分は不運で、運の力には期待できない」という人、つまり運を信じていてもその恩恵が自分には来ないと思っている人も努力をしそうです。
逆に、「自分は幸運なので、何もしなくても何とかなる」という人はたいして努力しないように思えます。
先の記事では、大学の期末試験の点数を予想させることで統制の所在を測定した以下のアンケートを紹介しました。
このアンケートには学籍番号を記入させていたので、Q2の回答タイプごとに、実際の期末試験の点数を比較することができました。結果を見てみましょう(図表2)。
(運が期待できないので)どうにもならないだろう 48.68点
(運によって)どうにかなるだろう 46.86点
(自分の力不足で)どうにもできないだろう 45.01点
やはり「(自分の力によって)どうにかできるだろう」という、内的統制の強い人たちの点数が最も高くなっています。
そして次に得点が高いのは「(運が期待できないので)どうにもならないだろう」を選んだ人たちでした。授業中に解説した内容をマークシート式で回答するというこの試験では、試験勉強の量(努力量)がそのまま得点に反映されていると考えられますので、「幸運は自分とは関係ない」と思っている人ほど、努力するといえそうです。
そして、運頼みの人たちの点数の低さも予想した通りといえるでしょう。
「成功しやすさ」を測る12の質問
ここまで見てきたように、「私は幸運なので大丈夫」という考え方は、努力を遠ざけているかもしれません。あなたはどうでしょうか? どの程度、幸運を信じているでしょうか? 信じているとしたら、幸運はどの程度、自分のもとに舞い込むと思っているでしょうか?
この考え方は、「幸運に関する信念を測定する尺度(Belief in Good Luck Scale)」を使えば、簡単に測定することができるのでやってみましょう。
図表3の文章に、「1点=強く反対する」「2点=反対する」「3点=やや反対する」「4点=やや賛成する」「5点=賛成する」「6点=強く賛成する」の6段階で回答してください。
そして、全ての回答の点数を合計してみましょう。*のついている⑦と⑫は反転項目なので、「1点=強く賛成する」から「6点=強く反対する」として計算します。
最高だと72点、最低だと12点で、点数が高いほど、運の存在やその力を信じているということになります。もし得点の高かったあなたが「努力できない自分」に悩んでいるとしたら、それは幸運を信じ過ぎているせいかもしれません。