アベノミクスの影響と新たな課題とは

2008〜09年のリーマン危機の時期に、アメリカと日本との間で極端な貨幣拡張が起こった。米国では住宅金融が過剰に行われ、住宅ローンが返済不能になるケースが増えた。これを受けて、米国の中央銀行のFRBが住宅ローン担保証券を大量に買い取り、米国の貨幣供給量(マネタリーベース)が大幅に拡張した。

日本の日銀総裁は円高好み、緊縮派が続いていたので、このアメリカの貨幣拡張はドルの価値を下げ、円高を引き起こした。慶應義塾大学の野村浩二教授が指摘するように、1990年代後半から続いていた円高の傾向を助長したのだった。これがアベノミクス開始まで継続していた日本経済のデフレと停滞の基本的な原因だったのである。