会社にしがみつくのもひとつの才能だ
「あなたねぇ、前の会社でどれだけ偉かったか知らないけど、そんなの関係ないから。職務分析して、自分にどんなスキルがあるかが勝負なんだから。若い人なら、会社は安く、長く使うことができるけど、あんたは50歳を過ぎてんだよ。高い金で短い期間しか使えないんだ。そんな買い物、あんた、する?」
「……しないです」
「そうでしょう。当然だよね。高くて不味いレストランに誰も行かないのと同じ。いま、あなたはそんな状態なの。冷静に自分に何ができるか考え直して、出直しなさい」
喪黒福造は、私に書類を突き返した。私は、完全に打ちのめされた。
それで「作家しかない」と覚悟を決めた、というのは嘘ですが、本当にショックでした。
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