「連覇」は簡単なことではない

2022年夏の甲子園を制した仙台育英・須江航監督が同じようなことを言っていたことを思い出した。「東北のみなさんから、『ありがとう』と声をかけていただくことが何度もありました」と。

大利実『甲子園優勝監督の失敗学』(KADOKAWA)
大利実『甲子園優勝監督の失敗学』(KADOKAWA)

「高校野球の中での勝負だけではない、社会的な価値があったと言える証ですよね」

勝ちの価値を高めてこそ、その先にいくつもの「ありがとう」が生まれてくる。

一度優勝すると、周りは「次は連覇ですね」と気軽に声をかけてくるそうだが、「そういうのは本当にやめてもらっていいですか。簡単なことではないんですよ」と、鋭い突っ込みを入れるという。

「須江さんが、『二度目の初優勝』という言葉を使っていましたが、本当に気持ちはわかります。夏が終われば、別のチームですから。また、『KEIO日本一』に向けてやっていくだけです。新しく変えていくところは変えていき、大事なことはそのまま継続していきます」

2024年4月にグラウンドを訪ねたときには、ホワイトボードに『新しい歴史を創る』という言葉が書かれていた。森林監督も選手も、そして大学に進んだ卒業生も次に向かって歩き出している。

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