コロナ禍の影響をほとんど受けなかった

今回、コメダについて見てきたが、この会社にはビジネスモデルの強みだけではなく、説明しがたいツキがある、ということにも気付いた。コロナ禍は、外食業界に極めて甚大なダメージを与えたことは記憶に新しいと思うのだが、その影響度は企業ごとにマチマチであった。カフェ業界もかなりのダメージを被り、ほとんどが赤字決算を余儀なくされた中、コメダはコロナ禍の影響をほとんど受けなかった。

図表4と図表5は上場大手カフェチェーンの売上と営業利益の推移を表したものだが、前提として、2020年度から2022年度はコロナ禍の影響を受けている。しかし、コメダの売上はコロナ禍の影響が軽微で、着実に成長している。また、コロナ禍で赤字に陥るカフェチェーンが多い中、コメダの収益は影響が軽微で、コロナ後の回復も早い。この背景としてはコメダの店舗は、ほとんどがフランチャイズ(FC)店である、ということにある。

【図表】上場カフェチェーンの売上推移
上場カフェチェーンの売上推移 各社IR資料より 単位:百万円(図表=筆者作成)
【図表】上場カフェチェーンの営業利益推移
各社IR資料より 単位:百万円(図表=筆者作成)

加盟店の経営は公的支援で守られていた

コメダはチェーン化の当初からFC制による出店を基本としており、その特徴はコーヒーや軽食などの材料販売を主たる売上として、ロイヤルティを席数に応じた定額徴収としているという点にある。これは取引形態としては、カフェ問屋コメダの主宰するボランタリーチェーンといったイメージで理解すればいいかもしれない。コメダFCは材料供給を軸とした構造となっているため、加盟店にお客が入らなければ仕入も基本、増えない、という仕組みである。加盟店は努力により収益を拡大しやすい、ということが言えるが、裏返せば、コロナのような事態が起こると、そのリスクの大半を加盟店が背負っているということだ。

そのため、コメダはコロナの時でも業績への影響は軽微であったが、その分、加盟店は厳しい状況に追い込まれたのである。しかし、政策による支援、コロナ補助金や給付金は、中小事業者を守る構造であったため、加盟店の経営は公的支援で守られた。FCが大半のコメダは、本部は大きな影響を受けることなく、加盟店も公的支援によって支えられたため、意図せずして、チェーンとして大きな恩恵を受けることができた、という結果となった。持ってる! としか言いようがないではないか。