ライバル不在のロードサイドで持続可能なFCチェーンを完成

コメダのビジネスモデルについては、2016年に上場した直後の決算説明資料において、図解で説明した「コメダの強み」という部分にわかりやすく説明されている(図表2)。これによれば、①郊外のカフェ需要にはライバルは不在、②アイドリングタイムが少なく、郊外でも収益確保可能、③フルサービス店にチェーンが不在、④店舗の大半がフランチャイズ(FC)店で、⑤加盟店との共存共栄関係が多様な収益源を生む、といった合わせ技で、高収益を実現している。

要は、ライバル不在の郊外ロードサイドで、持続可能なカフェFCチェーンを完成させた、ということが大きな強みとなっている、ということだろう。この経営判断が正しかったことは、コメダのいまの好業績を見ればわかるが、さらに言えば、競合他社による○○珈琲店といった模倣業態が多数投入されていることが証明しているとも言える。

【図表】コメダIR資料 2017年2月期決算説明資料内「コメダの強み」より抜粋
コメダIR資料 2017年2月期決算説明資料内「コメダの強み」より抜粋

ドトールが投入した星乃珈琲店は直近期で313店舗(直営売上168億円)にまで拡大、サンマルクの倉式珈琲業態は52店舗になっている。外食最大手すかいらーくは、むさしの森珈琲を投入して、70店舗以上を展開、不採算既存店の業態転換にも活用している。他にも、ミヤマ珈琲(ルノアール)や、さらに高付加価値化を目指した高倉町珈琲などさまざまな近似業態が発生している。コメダは、郊外ロードサイド+フルサービスカフェチェーンという新たなマーケットを発掘することに成功したのであり、模倣者はあれど、先行者メリットを脅かすほどの存在はまだいない状況、といっていいだろう。

中京以外のエリアにまだまだ出店余地がある

コメダが発掘したマーケットは結構大きくて、現時点でもその成長余地はかなり残されている。コメダの過去の成長軌道を地域別に見てみると、すでに名古屋式喫茶文化が行きわたっていた中京地区では、その店舗数は微減となっているのだが、その他の地域への拡大が成長の基盤となった。

前期末のコメダの店舗配置をみると、中京314店、東日本337店、西日本333店とほぼ同数になった(図表3)。中京(愛知、岐阜、三重、北陸)の人口規模(1400万人ほど)から考えれば、まだまだ中京以外のエリアに出店余地が十分ある。(会社では、2017年時点で1500店舗以上の出店余地ありと考えていた)。現在のモデルでもこのような成長余地を持っており、また、最近では郊外のみならず、商業施設、繁華街でもコメダがオープンすることが増えており、その市場は都市中心部にも拡大中だ。コメダが掘り当てた鉱脈は、かなり豊かな埋蔵量がありそうなのだ。

【図表】コメダの地域別店舗数推移
コメダ IR資料より(図表=筆者作成)