「応援団がうるさくて仕方ない」

「一人だけ顔も見たくない選手がいるんだね。名前は伏せるけど、その彼は内野を守っていた。守備に就く際、ベンチに戻る際、いずれもダラダラ歩いていく。子どもたちも見ているんだから、“ちょっとキミ、攻守交代の際には走ってくれないか”って言ったら、何も言わずにプイとその場から立ち去った。あれは今でも許せないね」

佐々木はこの一件を、当時の監督に伝えたという。

「でもその監督は、“あれ、そうですか”で終わり。ちなみに、星野にこの一件を話したら、“僕ならすぐにソイツを呼んできて、佐々木さんに謝らせます”って言っていたけどね。その辺も星野らしいよね(笑)」

長谷川晶一『プロ野球アウトロー列伝 異端の男たち』(大洋図書)
長谷川晶一『プロ野球アウトロー列伝 異端の男たち』(大洋図書)

90歳を過ぎて、今では現場に顔を出すこともなくなった。それでも、日々、スポーツ新聞、スポーツニュースのチェックは欠かさないという。

「今ではもう球場に行くことはなくなりましたね。あの、のべつまくなしで大騒ぎをする応援団がうるさくて仕方ないから。コロナで応援団も自粛していたけど、アメリカのようにインプレー中は静かに球音を楽しむ文化を大切にしてほしいんだけどね」

日々の『プロ野球ニュース』を通じて、多くの日本人に野球の魅力を伝え続けた佐々木信也。この番組を通じて、視聴者は野球の魅力を知り、日本人の野球偏差値は大きく向上した。今もなお球界に対する愛情はまったく薄れていない。

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