マルチタスクをするとイライラしやすい

もう1つ付け加えると、複数のことを同時に処理すると、ネガティブな感情になることもわかっています。

ストレスホルモンである「コルチゾール」の分泌が促されるためです。

リモートワークで、子供が騒ぎ出したらどうでしょう。穏やかではいられないはずです。

識者の中には、「邪魔されない環境で仕事をしましょう」と言う人もいます。

たしかに一理ありますが、日本の住環境では、限界があるのが現実ではないでしょうか。だとしたら、騒いだ時は、「いったん作業を止めて休憩をする」とした方が、得策というわけです。

「少しだけ」から元の集中力に戻るのは23分かかる

私たちは、次のようにふとした刺激に反応してしまうことが少なくありません。

「PC操作をしている際、デスクの散らかりが気になり、少しだけ掃除」
「資料を作成していたら、途中でメールが気になり、少しだけチェック」

南カリフォルニア大学の研究では、

気を取られるのは、たった0.1秒。

しかし、もとの集中力に戻るのに23分はかかるとの検証が得られています。

だとしたら、私の提案はこうです。

可能な限り、タスクスイッチングを避けてください。

2017年のアカデミー賞授賞式における珍騒動は、まさにタスクスイッチングの危険性を示唆してくれています。

その時、選ばれた作品賞は「ラ・ラ・ランド」でした。

会場は拍手に包まれ、関係者全員がステージに。鳴りやまぬ拍手の中、監督や出演者が壇上で表彰を受け、喜びと感謝のスピーチを順番に語っている、まさに感動のひと時に珍事件が発生したのです。

ステージ上が、少しざわつき始めた瞬間、司会者が慌てながら、こう言ったのです。

「ラ・ラ・ランドではなく、ムーンライトです。ベスト映画はムーンライト。間違いでした」

場内は騒然。

歴史に残る珍事件として記憶されました。