「良い姿勢」とはどのような姿勢なのか。整体師の片山洋次郎さんは「『気をつけ』のような立ち姿は一見良い姿勢に見えるが、本当の意味で良い姿勢ではない。人間がこのような『見た目』のいい姿勢を維持しようとするのは無理がある」という――。(第1回/全3回)
※本稿は、片山洋次郎『姿勢をゆるめる 疲れない身体と心の整え方』(河出書房新社)の一部を再編集したものです。
“良い姿勢”とはなにか
「良い姿勢」と聞いて、あなたはどんな姿勢を思い浮かべるでしょうか。
背筋がピシッと伸びて、胸が開いている。
背骨がシュッと立っていて、あごをきちんと引いている。
そんな直立不動の姿勢をイメージする方は多いかもしれません。
確かに、「気をつけ」をしているような立ち姿は、一見すると良い姿勢に見えます。
私たちが学校や家庭で教えられたのも、まさにこの姿勢です。
しかしそれは、本当の意味で良い姿勢ではありません。
人間は、つねに変化している生き物です。1日働けば夕方には疲れるし、季節や年齢、生活環境などによって体調は変わります。その人間が、ずっと背筋を伸ばし、先ほどのような「見た目」のいい姿勢を維持しようとするのは無理があります。
見せかけだけの良い姿勢は、「持続可能」ではなさそうです。形のみが整った姿勢ではなく、質的に「良い姿勢」とはどんなものか。
私たちは日々の生活や仕事の中で、まっすぐな姿勢以外にも、必要に応じていろいろな姿勢や動作を繰り返します。集中するためにも、リラックスするためにも姿勢は大切です。