CIRCLEの調査では、若者の51%は民主党候補を支持する可能性が高く、共和党候補を支持しそうな若者は30%だった。ただ、最近の調査では、トランプ支持者が急増している可能性がある。
4月に発表されたハーバード・ユース調査では、30歳未満の有権者で、バイデンの支持率は45%、トランプは37%と、その差は8ポイントしかなかった。
また、若い女性では33ポイントも差がつく一方で、若い男性ではわずか6ポイント差だった。一方、30歳未満の非白人有権者ではバイデンのリードは43ポイントだったが、同年齢の白人有権者では3ポイント差だった。
「トランプ陣営もバイデン陣営も、TikTokを有効活用して、選挙結果を左右する可能性がある若者票を取り込もうとしている」とハガティは言う。だが、「どちらもテレビが普及する前に生まれた候補だから、(若者とのギャップを埋めるのは)そんなに簡単ではないだろう」。
トランプにとっての爆弾
TikTokは、ヒスパニック系と女性という別の重要な有権者層でもよく使われている。
ピューの調査によると、ヒスパニックの成人の半数近くがTikTokを使用しているのに対して、黒人では39%、アジア系では29%、白人では28%にとどまる。また、女性では40%が使用しているのに対して、男性では25%だ。
ヒスパニックの有権者は、前回の20年大統領選挙以降に390万人増えた。一方、今回の選挙ではリプロダクティブライツ(性と生殖に関する権利)が重要な争点となっており、従来よりも多くの女性が選挙に行くとみられている。
だが、ジョージ・ワシントン大学メディア・公共政策大学院のデービッド・カーフ准教授は、TikTokブームは、「他のソーシャルメディアの人気低下の反動にすぎない」とみる。「TikTokは、X(旧ツイッター)がもたらした空白を埋めているだけだ」
だから、「トランプとバイデンがどのようにTikTokを使っても、最終的な選挙結果にさほど影響はないと思う」とカーフは語る。
それよりもカーフが注目するのは、トランプが不倫相手に支払った口止め料の処理をめぐる裁判で、有罪評決が下されたことだ。「トランプの量刑判決が下されるのは、今年の共和党全国大会の4日前だ」と、カーフは言う。
「前例のないことだ。その判決は、トランプの選挙対策チームがソーシャルメディアに投稿するどんな動画よりも(選挙に)大きな影響を与えるだろう」