人との小さな接点を持つことが大事

「死にたい」という気持ちは、多くの場合、精神的な孤独から起こっているとされています。

「天涯孤独」で誰とのつながりも感じられないことで、寂しさや虚しさ、悲しさなどのネガティブな感情に心を支配されているわけです。

希死念慮の根底にある孤独感を消すには、何よりも人との小さな接点を持つことが大事です。

これは「誰かを食事に誘う」「人に連絡を取る」といったハードルの高いコミュニケーションではありません。

・コンビニで買い物した際、レジの人に「ありがとう」とお礼を伝える。
・近所の人に会ったら「おはようございます」と言う。

例えば、このくらいの挨拶でもコミュニケーション効果があります。無言で生活するのをやめて、1日1回でも人と接点を持つことを始めてほしいのです。

たとえ相手が見知らぬ他人であっても、会話を交わす接点があると気持ちが和らぐものです。

日常の中で少しでも人と触れ合う瞬間があるだけでも、孤独感が薄れ、心がほんの少し温かくなるはずです。

「料理」は脳を活性化する

また、希死念慮に至る手前の「抑うつ状態」の回復に有効なのが「料理」です。

料理は、五感をフル稼働させることで脳が活性化され、心の元気を取り戻すにはおすすめの方法です。

大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)
大野萌子『ネガティブな自分のゆるし方』(クロスメディア・パブリッシング)

例えば、「何を作ろう」という思考に始まり、買い物に行って選ぶときに「視覚」、材料を切るときに「触覚」、炒める・焼く・揚げる・煮るなどの火を使う工程は「聴覚」や「嗅覚」、食べるときは「味覚」など各工程でフルに五感を使います。

五感のすべてを総動員することで、気持ちを活性化させることができ、落ち込んでいた気持ちを明るく、前向きにしやすくなります。

とはいえ、気持ちが落ち込んでいるときは、「料理なんてできない」「作りたいものなんてない」という思いが強いでしょう。

そのような時は動画配信サイトでレシピ動画を見たり、サイトでレシピを眺めたりするだけでも十分です。

まずは「美味しそう」「食べてみたい」と思うだけでも良いでしょう。

そして、レシピ動画の検索すら難しい、もう体が動かない、日常生活がままならないという人は、精神科や心療内科など専門の機関にかかることをおすすめします。

そうはいっても、病院を受診すること自体迷っている、病院を選んだり考えたりするのが難しい場合などもあると思います。

そんな時は、全国どこからでも共通の電話番号から相談機関に接続される「こころの健康相談統一ダイヤル」などの利用をまずは検討してみてください。

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