銘柄の見極めは収益性や成長力(和島氏)

半導体産業が活況を呈していると言いましたが、半導体製造装置メーカーも大いに潤っています。例えば、話題の「AI半導体」のウエハー切削加工機で高シェアを占めるディスコ(6146)は、絶好調です。その半面、向かい風を受けているのは、原材料を輸入に依存する業種。原油価格の影響を受けやすい化学業界、生産拠点が海外に集中している生活用品のSPA(製造小売業)には、円安で苦境に喘いでいる企業が少なくありません。

とはいえ、「株は、業種の好不況で選ぶべきではない。個別企業の収益性や成長力で見極めるべき」というのが、私の持論です。

例えば、化学業界では、三井化学(4183)やレゾナック・ホールディングス(旧昭和電工)(4004)のように、半導体材料に絞り込み、持ち直している企業もあります。「オールドビジネス」と見られる百貨店、鉄鋼メーカーでも現在、生き残っている企業は、厳しい淘汰の波にも耐えた、強靭な経営体質を備えていると言えるでしょう。特殊要因ですが、日本電信電話(9432)の株は、「1対25の株式分割」によって、約30%値下がりしました。IT関連のインフラ銘柄なので、中長期的には値上がりも期待できます。そのように、企業の個別事情を評価して、株の売買を判断する必要があります。

日本市場は縮小していますが、グローバルに事業展開し、各国の市場に適合した経営戦略で、成長を続ける日本企業も少なくありません。例えば、ユニ・チャーム(8113)は、アジアなどの新興国では、汎用の生理用品の販路を広げている一方、日本ではシニア市場の拡大に対応、「大人の紙おむつ」を投入しています。今や世界最大級の空調機器メーカーになったダイキン工業(6367)は、「インバータエアコン」の米国市場を開拓しました。

リンナイ(5947)も、タンク式給湯器が中心だった米国で、「瞬間湯沸かし器」を普及させました。ユニ・チャームは、インド事業にも成功し、現在はアフリカ市場の攻略に力を注いでいます。日立建機も、インフラの建設ラッシュに沸くインドに進出し、成果を上げています。

もっと言えば、グローバル展開しなくても、成長していればいいのです。富士フイルムホールディングス(4901)のようにデジタルカメラ、医療機器や化粧品といった具合に、ニーズに合わせてビジネスモデルを巧みに変え、生き残る企業もあります。

『会社四季報』などで業績や株価のチャートを過去3年間以上チェックし、成長している企業であれば、「株も今後、値上がりする」と見ていいでしょう。