企業は産業構造の変化への対応を問われている

また、AIの性能向上で、新しい発電技術の需要も高まるだろう。AIがあらゆるところで使われるようになることを念頭に置くと、電力の安定供給は社会的課題と言い換えてもよいだろう。

問題の解決策の一つに、日立は小型モジュール炉(SMR、小型であり安全性が高い原発)をゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁で開発した。2028年、カナダで初号機を建設し、米国でも受注獲得を目指している。原子力関連技術という日立が磨いてきた強みをAI分野と結合することで、同社の収益分野は拡大することも予想される。

業態を組み替えた日立は、AIなどデジタル技術を土台に据えて事業戦略を立案・実行した。自社の競争優位性が活かせるエネルギーやインフラ関連の製造技術、サービスなどをデジタル技術と結合し、産業界のデジタル化と脱炭素の需要を取り込んだ。

AI分野の成長で、世界の産業構造は変わり、企業の事業領域が発散的に拡大するはずだ。その変化に対応できるか否かが、企業の実力を拡充するための重要なポイントだ。

【関連記事】
「10年落ちの半導体を作る」というJASM熊本工場は素晴らしい…日本企業の「最新技術なら勝てる」という勘違い
「三菱商事"採用大学"ランキング」を見れば一目瞭然…学歴社会・日本で成功に必要な「出身大学の最低ライン」
「かつては東大卒よりも価値があった」47都道府県に必ずある"超名門"公立高校の全一覧
「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か
仕事もない、話し相手もいない、やる事もない…これから日本で大量発生する「独り身高齢男性」という大問題