企業は産業構造の変化への対応を問われている
また、AIの性能向上で、新しい発電技術の需要も高まるだろう。AIがあらゆるところで使われるようになることを念頭に置くと、電力の安定供給は社会的課題と言い換えてもよいだろう。
問題の解決策の一つに、日立は小型モジュール炉(SMR、小型であり安全性が高い原発)をゼネラル・エレクトリック(GE)と合弁で開発した。2028年、カナダで初号機を建設し、米国でも受注獲得を目指している。原子力関連技術という日立が磨いてきた強みをAI分野と結合することで、同社の収益分野は拡大することも予想される。
業態を組み替えた日立は、AIなどデジタル技術を土台に据えて事業戦略を立案・実行した。自社の競争優位性が活かせるエネルギーやインフラ関連の製造技術、サービスなどをデジタル技術と結合し、産業界のデジタル化と脱炭素の需要を取り込んだ。
AI分野の成長で、世界の産業構造は変わり、企業の事業領域が発散的に拡大するはずだ。その変化に対応できるか否かが、企業の実力を拡充するための重要なポイントだ。