狙えるのはタモリ、北野武世代まで

ただし、高齢者の全世代が範ちゅうに入るわけではない。年代別の保有割合を見てみると、スマホやPC、タブレット端末ともに、80代の保有率が一気に下がっている。どの端末も持っていない人の割合は34.5%だ。

こうしたことから、デジタルが届く年代は70代までといえる。すなわち、現在70代後半の世代がいる、芸能人でいえばタモリの年代に当たるキネマ世代や北野武の団塊の世代以降が、デジタル高齢者に該当することになる。

キネマ世代や団塊の世代は、サラリーマン時代の最後にPCで仕事をする機会を得た人もいて、その点でもデジタルと非デジタルを分ける境界といえるだろう。

ソファに座ってタブレットを使用する高齢のカップル
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デジタルを使いこなすほど「健康」という事実

一方、自立、非自立(要介護・要支援認定者)で分けた場合、デジタル高齢者であるか否かはどう関係してくるのか。調査結果から明らかになったのは、スマホやPC、タブレットの保有者は自立している傾向が高いという事実だ。

一つの見方として、自立は健康な高齢者と考えることができる。つまり、デジタル高齢者であるほど、健康であるという傾向がデータからは読み取れる。

高齢者全体では、どのような情報メディアを見ているのか。現在利用している情報メディアを聞くと、最も利用されていたのが「地上波テレビ」で、利用率は93.7%。推定利用人口は4082万人に上り、ほぼ高齢者全員が視聴しているといって差し支えないだろう。

団塊の世代はテレビっ子世代である。それ以降の世代もテレビを見る機会が増えた世代であるから当然の結果だろう。利用時間帯は午前6時から午後11時までと、特定の時間帯に限らず利用される。視聴ジャンルも、ニュースやワイドショー、ドキュメンタリー、バラエティー、国内ドラマと幅広い。