怒りに任せて不本意な言動を取ってしまい、後悔したことはないだろうか。日本アンガーマネジメント協会代表理事の戸田久実さんは「自分が何に対してどれくらい怒るかという記録をつけるといい。数値化することで怒りをコントロールしやすくなる」という――。

※本稿は、YouTubeチャンネル「Bring.」の動画「『怒り』とはなにか? 自分のなかにある『~べき』思考が怒りを生み出す」の内容を再編集したものです。

戸田久実さんと澤円さん
写真=石塚雅人
戸田久実さんと澤円さん

「怒り」は必要不可欠な感情

【澤円】戸田さんのご著者などを読むと、「怒りと上手につき合うには、怒りとはなにかを知ること」が重要だと書かれています。ストレートにお聞きしますが、「怒り」とはなんなのでしょう?

【戸田久実】もちろん、怒りとは感情のひとつです。喜怒哀楽という言葉があるように、嬉しい、楽しい、悲しいなどと同様に自然な感情ですから、消し去ることはできません。

【澤円】つまり、もともと人間にプリインストールされているものということですよね。なんらかの役に立つからこそ、怒りという感情が備わっているということなのでしょうか。

【戸田久実】怒りは、「防衛感情」と呼ばれることもあります。つまり、自分の安心・安全を守るために備わっている必要な感情です。澤さんが階段を下りている最中に、後ろから走ってきた人にぶつかられて危うく転げ落ちそうになったとしたら、「なんだよ、危ないな!」と怒りの感情が湧いてきますよね。

「怒り」は使い方次第でプラスに働く

あるいは、誰かの攻撃的な言葉で自尊心を傷つけられたり、自分が大切に思っている人やものに危害が及びそうになったりしたときにも怒りが湧いてくるはずです。そうして、自分の心や体、大切なものを守ろうとしているのです。

その他にも、怒りは感情表現のひとつでもあり、怒りをもってなにかを表現することで、自分の本気度や真剣さが相手に伝わることもあるでしょう。ただ、怒りは感情のなかでもエネルギーが強い感情のため、振り回されないようにすることが注意点です。

また、怒りの強いエネルギーが行動を起こすモチベーションになってくれることもあります。誰かにばかにされるなどして怒りを覚え、「いまに見てろよ!」と奮起して行動し、好結果に結びつくようなケースですね。