マグロは回遊魚なので、国際的に漁獲量が管理されているが……

マグロのように海洋を広範囲に回遊する魚は「高度回遊性魚種」と呼ばれる。1つの国が資源を減らさないよう努力しても、他国の沿岸で獲られてしまったら効果はなくなるため、その魚が遊泳する範囲にある関係国が集まって「地域管理機関」を設立し、共同で管理することとなっている。マグロに関しては5つの地域管理機関が設立されており、各機関内で資源評価に基づいて資源管理措置を実施する。

ICCAT(大西洋クロマグロを管理)やCCSBT(ミナミマグロを管理)では地域全体で獲ってよい量(漁獲可能量)を設定し、それを国別に割り当てている。割当を受けた国はその量を国内の漁業者に個別に割り当てるか、競争で獲らせて上限に達したところでその年の漁を終わらせている。日本は長年後者の方法でやってきたのだが、恥ずかしいことにかつてミナミマグロの漁船が過少報告をしており、実際の漁獲量は国の割当量をはるかに越えていたことが判明した。そのため2006年からは漁船ごとの個別割当に移行させられた。大西洋クロマグロも同時に個別割当に移行した。漁獲した魚にタグをつけて日本での水揚げ時に水産庁の担当者が照合するなど、過ちを繰り返さないための努力を余儀なくされている。

和歌山の漁港、2018年
写真=iStock.com/NithidPhoto
和歌山の漁港、2018年(※写真はイメージです)

1カ月で1尾のときも、有名な「大間のマグロ」は効率が悪い

日本では、5つの漁法で3つの市場に向けてクロマグロを獲っている。まず有名どころとしてはテレビ番組でお馴染みの大間のマグロがある。津軽海峡を遊泳するマグロを一本釣りで捕えるもので、大きければ大きいほど高値がつく。たとえば1尾50kgのマグロが5000円/kgで売れれば、25万円になるが、1尾100kgならその倍以上の値段がつく。とくに年末に大物を釣り上げると、豊洲の初セリで一攫千金だ。しかし一本釣りは漁法としては効率が悪く、ひと月に1尾しか釣れないこともあるらしい(テレビ情報)。

マグロを獲るための他の漁法として、釣り針を同時に何本も引くので一度により多く獲れるのが「はえ縄」と「き縄」である。はえ縄は大型のマグロを狙い、曳き縄は小型のマグロを狙う。対して「まき網」は魚群を大きな網で巻き取るので一挙に多く獲れて効率がよい。しかし大型のマグロを狙って巻いたまき網に小型のマグロがかかってしまうこともある。そもそも小型を狙うこともある。