「居抜きビジネス」で急成長を遂げる

しかも、人件費は自分が働いてしまえば抑えられます。お店から徒歩2分のところにアパートを借りて、朝10時くらいから、日付が変わった明け方4時くらいまで働いていました。社員は私だけ。あとは、アルバイトを雇って補っていました。

本当に単純なことしかしていないのに、引き継いだときは、毎月の売り上げが100万円程度だったのが、ひと月で300万円になり、半年後は1000万円を超えました。

その後も不採算のカラオケ店をどんどん買い取り、店を再生するビジネスで、3年間で年商10億円、10店舗まで展開するに至りました。新店舗を新たに建てるわけではなく、買い取った物件の設備や内装をそのまま利用する、いわゆる“居抜きビジネス”です。現在では、大手カラオケチェーンの「まねきねこ」が、同様のビジネスを展開されていますね。

カラオケ
写真=iStock.com/loveshiba
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こうして急成長を遂げたわけですから、世間から多少なりとも注目が集まります。そのようなとき、取引銀行からステーキ店を経営している会社を紹介されたんです。これが、ガーデンが外食事業に参入するきっかけとなりました。

「失敗しないものしかM&Aしない」という鉄則

事業譲受の話があった際、店へ行ったのですが、それはもうひどい状態でした。ショーケースはぼろぼろだし、掃除も徹底できていない。夜、店先の電気はついていないし、営業終了時間前に、従業員が勝手に店を閉めて、帰ってしまっていたんです(笑)。

ところが、このような状態でも、引き継ぐ前の時点で多少の黒字が出ていました。だから「損をすることはないだろう」と思い、購入を決めました。

それからは、お店はきれいにしましょう、電気はつけましょう、営業時間は守りましょうと、本当に当たり前のことをやっただけです。それだけで、このステーキチェーンは、最終的にはもともとの数字から2倍ほどの利益に成長しました。

そもそも、私は失敗しないものしかM&A(企業の合併・買収)しません。これは、創業から20年以上たった現在でも同じです。