なぜ日本人の有休取得率は世界最悪なのか。ビジネスコンサルタントの新田龍さんは「『有休なんてとらせてたら仕事が回らない』なんていう会社は組織上、致命的な問題があり魅力がない。労働者から選ばれる会社になるためには、誰が休んでも仕事が回る仕組みを今から整える必要がある」という――。(後編/全2回)

前編から続く)

有休取得率が過去最高を記録したが…

「6月は祝日が1日もない」と嘆いているビジネスパーソンは多いだろう。次の祝日は7月15日まで待たなくてはならない。しかし、こういう時こそ活用すべきなのが、有給休暇だ。

わが国のすべての企業においては、2019年4月から有給休暇の取得が義務化されている。使用者は、条件を満たした従業員には年5日の有給休暇を取得させなければならず、違反した際には罰則もある。つまり現在は、有休を5日取れない会社は「違法」となっている。

その効果は着実に出ているようだ。厚生労働省による最新版「令和5年就労条件総合調査」によると、2022年の1年間に企業が付与した有給休暇の、労働者1人あたり平均日数は17.6日。このうち実際に労働者が取得した日数は10.9日で、取得率は「62.1%」となった。

実はこの数字、調査を開始した昭和59年(1984年)以降、過去最高を記録しているのだ。

さすがに有休取得率が60%を超えたからには、海外諸国との比較でもそんなに低い位置には留まっていないだろう……と思われた読者もおられるかもしれない。しかし残念ながら、わが国では過去最高の有休取得率でも、国際的には依然として「ワースト2位」。まだまだ日本人の有休取得率は低いままなのだ。