違反車両が取り締まられるかは運次第

② たまたま警察官や駐車監視員に遭遇するか

「そんなアホな」と笑う方もおいでだろう。まあ、聞いてほしい。

街中で、緑色の制服を着て違法駐車の見回りをする2人組を見たことがあるだろう。彼ら「駐車監視員」の制度は2006年6月にスタートした。その前後、駐車取り締まり件数のワンツートップだった警視庁(いわば東京都警)と大阪府警が「瞬間違法駐車台数」をさかんに発表した。

瞬間の違法駐車台数と比べて検挙率はどれぐらいか、当時私は計算したものだ。「瞬間」を2時間程度としても、検挙率は1%に遠く届かなかった。駐車取り締まり件数が全国1、2位の東京、大阪でさえ、なのである。

警察官僚が見た「日本の警察」』(講談社)という古い本がある。1999年3月初版だ。著者は平沢勝栄・衆議院議員。そこに、非常に珍しい話がでてくる。神奈川県警交通部の調査をもとに「潜在違反」を推計したところ、年間103億件。当時の神奈川県の交通取り締まりは年間48万件、検挙率は約0.005%……。

つまり、違法駐車に限らず、違反をしても、取り締まりを受ける確率は、きわめて微少なのである。がちがちの順法運転に徹する人以外にとって、交通取り締まりを受けるかどうかの境目、そのひとつは、残念ながら「運」といえるのである。

「この商店街は、ちょっと路上駐車して買い物する人が多い。そういうのはセーフなんだ」
「高速道路はみんな20キロオーバーぐらいで走っている。20キロならOKらしい」
「こういう見通しのきく場所で、停止線の手前できっちり一時停止するやつは初心者、下手くそだ」

なんて思っている人はいないだろうか? 結局は運次第なので、そのうちすかっと捕まるかもしれないのだ。

「緑の人」のターゲットは放置車両だけ

③ 駐車監視員が取り締まるのは「放置駐車」だけ

警察庁の資料によると、全国に駐車監視員は約1900人いる。

駐車監視員(以下、監視員)ができる“仕事”は、じつは限られている。駐車監視員は、違法駐車の違反者本人が目の前にいても、違反切符を切ることができない。監視員ができるのは「放置車両の確認及び標章の取付け」(第51条の4第1項)だ。