邪魔な違反車両をどうにかしたい場合は…
ここまで駐車違反のボーダーラインについて解説してきたが、違反車両に困っている人はどうすればいいのか。
110番通報すれば警察官が臨場する。明らかに違法駐車のクルマを現認して、警察官は何もせずに去る、それはちょっと考えにくい。もしも明らかに違法駐車があるのに、何もせずに去った場合、都道府県の公安委員会に対し通報者が「苦情申出」(警察法第79条)の手続きをすることができ、警察官は立場的にまずいことになってしまう。
実際、警察には駐車問題に関する110番通報が、1年間に85万件以上も寄せられている。
その場に違反者本人がいれば、警察官は最低限、クルマを移動するよう言うはずだ。放置車両なら標章を、携帯プリンターではなく手書きで作成し、放置車両に取り付けるだろう。
ステッカーは警察官、交通巡視員も貼れる
標章の作成と取り付けは、警察官や、交通整理などを行う交通巡視員もできる。2022年のデータでは、標章の取り付け数はこうだ。
※公開データではなく、筆者が情報公開法の手続きを踏み手数料を払って入手
・駐車監視員 56万3587件
・警察官 23万8885件
・交通巡視員 639件 ※交通巡視員がいるのは全国で8県のみ
・警察官 23万8885件
・交通巡視員 639件 ※交通巡視員がいるのは全国で8県のみ
住宅街の道路には駐車禁止の標識がなかったりする。その場合でも、前述のとおり法定違反は成立する。そこが私道でも、道路の体裁をなし、不特定の人車が通行できるなら「交通の用に供するその他の場所」(第2条第1項第1号)に当たり、道交法のカバー範囲とされる。ただし、私道といってもさまざまなので、カバーされない場合もあることに注意が必要だ。
とにかく、駐車違反車両をどうにかしたい場合は、泣き寝入りするのではなく警察に相談してみたほうがいいだろう。