自分を「開いて」共感を呼ぶ

【千葉】私は「自己開示」という言い方をしていて、本(『話し方の戦略』)のなかでは指原莉乃さんの事例をもとに解説しました。指原さんのスピーチは学ぶことの宝庫なんですよ。

国山ハセン『アタマがよくなる「対話力」』(朝日新聞出版)
国山ハセン『アタマがよくなる「対話力」』(朝日新聞出版)

【国山】指原さん。お仕事したことあります。

【千葉】指原さんはとにかく自分のことを下げて「私はもう本当にうまくいかなくて、顔もブスで……」とおっしゃいます。

逆に、AKB選抜総選挙で3回目の1位を取ったときは「私を1位として認めてください」っていう気持ちを開示しながらファンの皆さんに感謝を伝えています。

どちらも、人に話すのに勇気が必要な内容を自分から開示しているんです。だからこそ、聞き手は「この人は本心から私たちに伝えようとしてくれているんだ」と感じ、応援したくなるのです。

【国山】「共感」を呼ぶっていうことですよね。

【千葉】今の時代って情報が多すぎるので、ただわかりやすいだけではなくて、そこにどう共感できるか、ファンがつくかというのが大切だと思います。聞かれなくても自分を出しにいくっていうような覚悟があったほうが、ビジネスにも生きてきますよね。

2秒待って相手の話を「聞ききる」

【国山】どんなシーンでもそうですね。人前で話すときにそういう要素を出すっていうこともあれば、会話のなかでちょっと意識づけて相手と距離を縮めていくこともできる。

ただ、いきなり縮めすぎてしまうと、「この人とは合わない」となってしまうパターンもありますよね。

【千葉】相手に合わせる「間」ですね。

【国山】相手が話し終える前に、被せるように自分の話に入ってしまう人がときどきいます。丸(句点)がつく前に入っていっちゃう。ここ結構テクニック的に重要で、話し終えてから1、2……2秒開けて話すぐらいがいいんです。

【千葉】私も一緒です。スピーチやプレゼンでも、句点のあとに2秒。

【国山】まさに。複数名の話者がいる場合や、ファシリテーションをする場合も、ちゃんと「聞ききる」ということですよね。