ギネス世界記録に認定

マンガが売れているのは日本のみにあらず。アメリカでの紙コミックの販売部数で2021年から2023年の3年間で341万部、これは「鬼滅の刃」には至らずとも、「チェンソーマン」「僕のヒーローアカデミア」と並んで現在も続く日本マンガのトップ3のポジションを堅持してきている。

【図表1】人気コミックの販売部数(日本)
オリコン発表数字より著者作成
【図表2】人気コミックの販売部数(アメリカ)
BookScan発表数字より著者作成

マンガ人気を牽引したアニメは、「進撃の巨人」でも知られるMAPPA制作。世界最大のアニメ専用配信プラットフォームCrunchyrollで、第一期がさっそく2021年「Anime of the year」を受賞しているが、2024年には第二期が「Anime of the year」に輝いている。

2017年から続いている同賞は「鬼滅の刃」や「進撃の巨人」も受賞する名誉ある場だが、同シリーズで2度の受賞は初めてのことである。

2024年4月には、「世界でもっとも需要の高いテレビアニメ番組」として2025年版のギネス世界記録に登録されることが発表された。

ギネス世界記録のウェブサイトによると、データサイエンス企業パロット・アナリティクスの計算で、「呪術廻戦」の世界的な需要評価は平均的なテレビ番組の71.2倍であることがわかったという。

同社は、動画の消費(ストリーミングとダウンロード)、ソーシャル メディアのエンゲージメント(ハッシュタグ、いいね、共有)、リサーチ アクションなど、毎日数十億の新しいデータ ポイントを収集している。その需要の計算をしたところ、今回の結果になったという。

ちなみに、呪術に奪われるまで「世界でもっとも需要の高いテレビアニメ番組」を維持していたのは「進撃の巨人」だ。

「呪術廻戦」は、マンガはもとよりアニメとして空前絶後の記録を打ち立てた作品といえる。

連載開始7年で「ジブリ」と肩を並べる

テレビアニメだけでなく、われわれの記憶に新しいのは2021年12月公開の劇場版アニメ「劇場版 呪術廻戦 0」だ。映画興行の世界を席巻した。

同作は、国内興行収入138億円と「ONE PIECE FILM RED」に続く2022年日本国内2位に輝いた。実は米国でも3400万ドル(約50億円)と大成功を収めている。

海外興収5800万ドル(約90億円)はジブリアニメ、新海アニメ、ポケモン、スラムダンク、鬼滅の刃、ワンピース、ゴジラマイナスワンとならび、ほぼトップ級の作品だけが残せる実績であり、バイオレンス問題で中国での配給がなされていないが、中国人気も加味すればまだまだ伸びるポテンシャルはあった。

【図表3】「劇場版 呪術廻戦 0」地域別売り上げ
BoxOffice Mojoより著者作成

連載7年目に過ぎない本作がマンガ、アニメ、劇場版で日本のみならず全世界を席巻し、いかに類をみない記録を打ち出してきたか、ということを軽くまとめてみた。

「ONE PIECE」や「鬼滅の刃」に並んで、「呪術」もまた日本アニメの世界的なムーブメントの中心を担ってきた作品なのである。