水虫以外の皮膚病の可能性もある
一見水虫と思われる皮膚病も、実は湿疹などの他の皮膚病ということもあります。水虫に間違えやすい皮膚病に、接触皮膚炎や汗疱性湿疹、皮膚カンジダ症があります。接触皮膚炎は、じゅうたんや靴の革の染料や接着剤に触れることで起こる皮膚炎で、触れた箇所に発赤やかゆみ、ただれなどが生じます。汗疱性湿疹は、手足に汗をかきやすい人に見られやすく、汗が原因で起こる湿疹です。水疱やかゆみが現れます。皮膚カンジダ症は、粘膜の常在菌であるカンジダという真菌の感染によって起こる皮膚炎で、指の間、股、お尻、脇の下など皮膚と皮膚が接しやすい箇所に起こりやすく、こちらもかゆみを伴う発疹やただれを症状としています。
水虫と自己診断して来院した患者さんのうち、検査を行い実際に水虫(足白癬)と診断された割合は2/3ほどであったとの報告もあります(小笠原弓恵「白癬の頻度と患者意識」Jpn. J. Med. Mycol. Vol. 44、253-260、2003)。
特に、患部が腫れている場合や、家族に水虫がないのにお子様だけに症状がある場合、手や足の左右対称に症状があるなどの時は、水虫以外の病気かもしれません。
誤った自己診断は治療を長引かせる可能性がありますし、反対に水虫にもかかわらず無治療でいることは知らないうちに人に水虫をうつしてしまうことにつながります。水虫かもと思ったら、自己判断せずに早めに皮膚科を受診し、完治を目指しましょう。
(参考文献:中原保裕『処方がわかる医療薬理学2022-2023』学研プラス)