菌は24時間以上かけて感染を成立させる

まずは感染対策です。プールの更衣室、温泉、サウナなどでは水虫に感染することがあります。水虫の原因となる白癬菌は、湿度が高く温かい環境を好みます。プールの更衣室や温泉、サウナなどはその条件を満たしており、菌がとても繁殖しやすい環境と言えます。またこのような場所では、床、マットやサンダルなどの菌が付着しやすいものに、はだしや素肌で触れる機会が多くあります。ご自身が水虫と気づいていない潜在的足白癬患者が多くいることを考えると、リスクは高いと言えるでしょう。

風呂場
写真=iStock.com/Toru Kimura
※写真はイメージです

しかしながら、幸い菌が付着するだけでは感染することはありません。傷がある場合を除き、菌は24時間以上かけて皮膚の角質の中に侵入し感染を成立させると言われています。白癬菌が付着してしまっても、足をきれいに洗えば菌は落ち、感染を防ぐことができるのです。反対に、家庭内などで白癬菌を持つ人と日常的にバスマットや爪切りなどを共有すれば、せっかく足を洗っても再び菌に触れ、感染する可能性が高くなります。

プールやジムなど、はだしで歩く場所ではご自身の履物を着用し、マットやタオルなどの共用をさけましょう。そして最後には、手足の指の間まで綺麗に洗い流し、よく乾かすよう心がけましょう。

まずは皮膚科で診断してもらうことが大切

すでに症状がある方、またはもしかすると水虫かもと思われている方の中には、水虫で病院に行くことが恥ずかしい、仕事が忙しくて水虫くらいで病院に行く時間がないと思われている方もいらっしゃるでしょう。それでもまずは皮膚科で診断してもらうことをおすすめします。

再発を繰り返しやすいと言われる水虫ですが、治療を成功させるためには3つのポイントがあります。

①正しい診断のもとに薬を選択する

水虫を自力で治療することは不可能ではありませんが、水虫の種類や重症度をご自身で判断することは難しいです。皮膚や爪の一部を採取して、顕微鏡で白癬菌がいるかどうかを調べることもあります。

②治療の終了を適切に見極める

一見治癒したように思えても、実際には菌が残っていることがあります。菌が死滅したのではなく、活動を停止しただけという状態です。症状はなくとも治療が必要な場合があります。

③患部を清潔に保つよう日常生活を注意して過ごす

靴や靴下は通気性の良いものを選び、できれば同じ靴を続けて履かないようにしましょう。蒸れた状態は望ましくありません。お風呂の後などには、足の水分をしっかり拭き取るようにしましょう。家でははだしで過ごされるのも良いでしょう。

これらのポイントを考慮すると、まずは皮膚科で診断してもらうことが大切なのです。ドラッグストアなどで手軽に手に入れられる市販薬は処方薬が切れたときなどの補助的な選択肢として使用されることをおすすめします。治療費の観点からも、継続的な治療が必要であることを考えると、保険の効かない市販薬は結果、皮膚科を受診するよりも金銭的には負担が大きくなるように思います。