「福耳」は不調のサインかも

さらに、耳たぶの特徴と早死にも関係があるという研究もあります。よく、高齢者になると耳たぶがたれてきて、さらに耳たぶに深いシワがある人がいます。これも非常に危険な兆候です。

耳たぶが大きいと「福耳」だと言って縁起がいいと考えるかもしれませんが、残念ながら医学的にはそうではありません。耳たぶにできた深いシワは「フランク徴候」と呼ばれ、心臓病や動脈硬化などのサインとされています。その的中率はかなり高く、シカゴ大学が実施した調査では、心筋梗塞患者の73%にフランク徴候が見られました。

また、タバコを吸っている人に特有の「スモーカーズフェイス」があります。タバコを吸っている人は肌のハリがなくなってくすみが目立ち、毛穴が開いたり、ほうれい線や口元のシワが増えたりなど、さまざまな兆候が表れます。これは間違いなく見た目を老けさせていますし、実際に寿命も短くなります。

タバコには4000種類以上の化学物質が含まれています。うち200種類以上が有害物質で、発がん性物質も50種類以上あるとされています。吸う度にそれらが血流に乗って全身を巡ります。有害物質は血管の内皮細胞を傷つけますが、傷がついたところにはかさぶたができます。そのかさぶたが血管を硬くして動脈硬化を招くのです。

さらに、人間の体は傷ついた部分を修復しようとしますから、かさぶたを作っているエラスチンという弾力繊維を溶かして血管の詰まりをなくすための酵素が出てきます。ところがエラスチンがあるのは血管だけではなく、肺にもあります。肺のエラスチンを分解してしまったら、肺は伸び縮みができなくなって広がりっぱなしになり、呼吸ができなくなります。これが肺気腫と呼ばれる病気です。肺気腫はそのほとんどが喫煙によって起こるとされているので、スモーカーズフェイスの人はやはりそうでない人に比べて寿命が短いと言えるでしょう。

このように外見が老けて見える人は、実際に寿命も短いことがわかっています。つまり、見た目のアンチエイジングに取り組むことは、健康寿命を延ばすことにもつながると言えるわけです。

老け顔は「早死に」のサインである