低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の急成長が続いている。立教大学ビジネススクールの田中道昭教授は「背景には、優れた価格戦略に加え、DX戦略での成功がある。こうしたビジネスモデルは容易に真似できないため、現在のところ、競合するサービスは見当たらない」という――。
チョコザップ店舗の外観
チョコザップ店舗の外観(画像=Tokumeigakarinoaoshima/CC-BY-SA-4.0/Wikimedia Commons

目標はコンビニ並みの1万店

RIZAP(ライザップ)グループの2024年3月期決算が5月15日に発表された。連結最終損益(国際会計基準)は43億円の赤字だが、23年3月期の赤字額は126億円なので、業績はかなり改善されたといえる。さらに、25年3月期は20億円の黒字になるという予想も出した。業績向上の理由は、低価格ジム「chocoZAP(チョコザップ)」の事業が好調に伸びていることだ。

22年7月のサービス開始から、1年10カ月で店舗数は1500店に達し、会員数は120万人を超えている。全国47都道府県に店舗があり、将来的には大手コンビニ並みの1万店以上を目指すという。

chocoZAP会員数の推移
chocoZAP会員数の推移(2024年3月期 決算説明会資料より)

ライザップグループは個別指導型のパーソナルトレーニングで急成長した企業だ。「結果にコミットする」というキャッチフレーズで、有名タレントがボディメイクに成功するCMが世間の注目を集めた。一方、急速なM&A(合併・買収)が裏目に出てしまい、業績低迷を招いたという経緯がある。

低価格で手軽な「サブスク型」ジム

ライザップの初期費用が数十万円と高額だったのに対し、チョコザップは月額2980円(税抜き)という低価格でライトなフィットネスを提案している。

今回の記事ではチョコザップが急成長している理由、今後の見通しなどについて考えていきたい。

チョコザップは、サブスクリプション(定額課金)のフィットネスジムで、最大の特徴は月額2980円という低価格である。会員は24時間営業の全店舗を何回でも利用できる。常駐スタッフがいない“無人ジム”で運営し、設備はトレーニングマシンが中心で風呂やシャワールームはない。「初心者OK」「着替えなくてOK」「1日5分でもOK」と手軽なフィットネスを提案し、急速に会員を獲得していった。