孤独に対する不安を解消するには何をすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「孤独が怖いと感じている人も、いずれ孤独になるときが来るかもしれない。いまのうちから、1日の中に、誰ともつながっていない時間を意識的につくるなど、孤独な時間を楽しむことに、少しずつ慣れておくといい。ひとりの時間に親しむうちに、孤独に対する怖れが薄らいでくるはずだ」という――。
※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
孤独死はある意味で理想的な死に方とも言える
「孤独になりたくない」という声がよく聞かれる一方で、孤独が好きな人もいます。
ひとりで映画を観たり、本を読んだりするのが好き。人と関わるのが煩わしくて、ひとりでいるのが一番ほっとする。そんな人は少なくないと感じます。
脳の老化予防という観点では、人と会って話すことは大事なのですが、孤独が好きな人が、無理にでも友達づき合いをしたほうがいいなどとは思いません。いわゆる「孤独死」はしたくない、と言う人も多いのですが、私は孤独死が悲惨なものだとはまったく思っていません。
一人暮らしで誰にも看取られず亡くなり、死後数日経って発見されるということは、死の直前まで元気だったと推測されます。
いまは要介護認定を受けた高齢者であれば、ほぼ例外なく何らかの福祉サービスにつながっていて、日常的に介護ヘルパーなどの訪問を受けます。したがって、病気で寝たきりの高齢者などは、孤独死したくてもできません。
そう考えれば孤独死は「ピンピンコロリ」、つまり直前まで比較的元気に生きて最期を迎える、理想的な死に方とも言えるのです。