親の介護は施設を利用し、こまめに会いに行くといいが

その結果、介護を頑張りすぎて限界を迎え、親を介護施設に入所させると、今度は施設にいる親にほとんど会いに行かなくなる、というパターンがよくあります。

しんどい思いをして在宅介護を続ける必要はなく、むしろ施設を利用し、そのうえでこまめに本人に会いに行くほうがいい。要介護の親を持つ人たちに、私は日頃からそう伝えていますが、その反対になりがちなのが実情です。

親の側が、体が弱ってくると子どもに甘えすぎてしまうとか、夫が定年退職した途端、何でも妻に頼りきりになる、というケースもよくあります。

ベタベタと近寄りすぎるか、突き放すか。極端から極端へと振れてしまい、「いい加減」の関わり方ができていないことが多いと感じます。

距離が近すぎるとトラブルのもとになりますが、かといって突き放すと遠くなりすぎてしまいます。適度な距離をとるのが大切なのですが、それがなかなか難しいのです。

白か黒かで、その中間のグレーが認められない

近づきすぎたり、離れすぎたりと、人間関係でほどよい距離がとれない人は、「二分割思考」にとらわれている人が多いと思います。

「正義か悪か」など、ものごとを2つにはっきり分けてしまう、この思考パターンの人は、他人のことも「敵か味方か」に分けてしまいます。

そのため、味方だと思っていた人が、少しでも自分を批判すると、敵になったと考えます。味方であっても批判することがあるとか、他人と完全に意見が一致しないのは当たり前といったことが認められません。

チェス盤に載っている白と黒のチェスの駒
写真=iStock.com/Ruslan Kolodenskyi
※写真はイメージです

白か黒かで、その中間のグレーが認められない。そうした人は、すなわち「いい加減」ができない人です。

世の中はグレーだらけで、真っ白や真っ黒と言えることはほとんどありません。にもかかわらず、それがあるかのような幻想にとらわれている人が少なくありません。