不採用で目が覚めた…
それは、最初の面談から始まっています。
良かれと思って失敗してしまった、50代大手企業の方の例を最後にご紹介しましょう。
快活な上原さん(仮名)。役職定年を経て、60歳の定年を前に、「社内で培った経験を社会で腕試ししたい」と大人のインターンシップに参加されました。大学からずっと東京ですが、故郷の九州に関わりたい、元気がなくなっている地域の活性化に貢献したい、との強い希望があり、プロボノ先として自治体をご紹介し、面談に臨まれたのです。
上原さんは故郷への愛を語り、「インターン先に貢献したい」と故郷の町を事例にしながら、プロボノ先の自治体での展望を熱く述べられました。ただし、上原さんの故郷は、人口約15万人の一大都市。一方で、プロボノ先の自治体は、人口4000人の町。地域も違えば、使える予算も異なります。規模感の全く異なる「あれもできる、これもできる」という上原さんの提案に、相手はすっかり及び腰の展開になってしまいました。
結果は不採用。上原さんは、その一回の経験でおおいに学んだといいます。
「無償でも採用されなかったことで、目が覚めました」と。
それからの上原さんは、見た目にも吹っ切れていました。次のプロボノ先企業との面談では、相手の人となりを尊重しながら、プロ野球ネタで話が弾み、無事にインターンへと進みました。忖度なしの無償の現場だからこそ、長年のクセや勘違いに気づくことができたのでしょう。
(構成=大場葉子)