産業時代は、決められた作業を効率的に進めることで高い成果を出すことができた。人は管理すれば能力を発揮するものと考え、マネジメントがリーダーの主な役割となっていた。
ところが情報・知識労働者の時代は、個々のメンバーが創造性や独創性を発揮することで、組織の成功がもたらされる。上司の指示や命令で動くのでなく、本当にモチベートされたメンバーが自分で考え、クリエーティブに活躍することが成果につながる。そこでは、マネジメントだけでは組織は機能しない。メンバーを動機づけ、能力を引き出すリーダーシップが必要になる。
マネジメントとリーダーシップを比較したのが図2である。一見すると両者は似通っているが、リーダーが実際に取る言動は大きく異なる。
私たちが提唱する「21世紀型リーダーシップ」で、最も重要なキーワードは「ボイス(内面の声)」である。ボイスとは、自分のありたい姿を示すもので、「ニーズ」「才能」「情熱」「良心」の側面から捉えていく。
図3に示した質問を自分自身に投げかけてみてほしい。できれば1人で静かに思索できる時間を取ることが望ましい。自問自答するうちに、本心から取り組みたいと思えることが見つかるだろう。また、自分がリーダーであること自体が、あなたのボイスに適っているかどうかも考えてみてほしい。役職を与えられたからという理由だけで、この変革期にリーダーは務まらない。あなた自身の中に奮い立つものがあり、自ら選択して発揮する真のリーダーシップにこそ、メンバーは共感し、才能と情熱を惜しみなく発揮する。
次に、メンバーにも自らのボイスを発見するように働きかける。「第8の習慣」がめざす「偉大なリーダー」への道はここからスタートする。