住宅売却の含み益で賃貸に住み、安くなったらまた買う

また、最近では大規模な分譲物件には、必ず賃貸に出されるマンションがある。自分のマンションを売って、同じマンション内の賃貸物件があればそちらに移転する。家族状況に合わせることもできる。売却で利益確定した「含み益」部分は賃貸住宅の家賃に使える。

高く売って含み益を確定し、それを家賃に回し、住宅価格が安くなったら、賃貸生活をやめ、売却して得た資金を元手にまた持ち家に住めばいいのだ。

「そんなの面倒くさい」と思う人も多いだろう。確かに、十分な資産がある人、副業で稼げる人、本業がもうかっている人はそこまでしなくてもよい。「そんな芸当はない、私は普通のサラリーマンです」というならば、少しは考えたほうがよい。サラリーマンが普通に家を買っていたら、大変な時代が始まる。

賃貸か所有か
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また、買うよりも大事なのは住宅の売りのタイミングだ。相場が高いときは、売却により利益確定ができる。

ある意味で、不動産とはうまくお金を借りることだ。住宅ローンなどレジデンス投資には独特の癖や利点がある。

「訴訟になっている物件」こそ、じつは狙い目

再開発による訴訟は、思っているより多いものだ。

まず思い浮かぶのは、再開発にともないそこを追い出された住人だろう。しかし、この手の訴訟は第三者にはあまり関係ない。

興味深いのは、住民側が行政を訴え、再開発を告発している訴訟だ。

過密都市東京で、これだけ再開発があるのには深い理由がある。

10年ほど前から、民間のノウハウや民間の資金力などに依存するため、容積率の思い切ったボーナス(追加付与)を行政が大手デベロッパーにプレゼントする開発事例が目立っている。

自治体は財政不足を理由にそれまでやっていた土木・箱物事業で民間の力を借りることが多い。時には「丸投げ」に近い事業もある。

本書で触れた東京五輪選手村が晴海フラッグに化けた事業は代表的だ。神宮外苑関係の再開発もそうだ。また、公園や学校など低層利用の公有地に目をつけ、そこを民有地に変換する事業も盛んだ。