カリフォルニア州の電気料金が高騰している理由

米国電力研究所(EPRI)が4月に発表したEV白書では、「EVが普及すると、そのスケール効果により電気料金が下がる」とされている。

米国でもっともEVシフトが進んでいるのはカリフォルニア州だ。カリフォルニア州の新車販売に占めるEVの割合は約25%。EVシフトの失速により前年比では減少しているが、それでも顕著に高い数字だ。

だが、カリフォルニア州の電気代は下がっておらず、むしろ激しい上昇を見せている。

2008年を基準とすると、2023年現在のカリフォルニア州の電気料金は、15.1%も値上がりしている。同じ期間に全米平均の電気料金が4.7%上昇したのに対し、カリフォルニア州の電気料金はなんと3倍以上もの値上がり率だ。

一方で、カリフォルニア州大気資源局(CARB)は、達成が困難な同州のEV普及目標のテコ入れを図るため、州内のガロン当たりのガソリン価格を2025年から毎年約50セント(80円)継続して値上げすることを計画中だ。

経済的事情からEVを購入できない人や、利便性の面からガソリン車やハイブリッド車を選ぶ人にとっては「懲罰的」な値上げとなる。

再エネが普及するほど電気料金が上がる

カリフォルニア州は全米で最も再エネ発電が進む場所だ。

米国においては発電のおよそ60%が化石燃料、19%が原子力、21%が再エネというミックスとなっている(米エネルギー情報局調べ)。

一方、カリフォルニア州では、再エネの割合が2022年現在で32%と3分の1近くに達している。

再エネ推進派の主張によれば、再エネは安価で効率的な発電方法とされる。そのため、再エネが普及すればするほど電気代は下がるはずだが、そうなっていない。

電気代の高騰により、カリフォルニア州の電気契約者のうち約340万人もの人が、電気料金を滞納している。その総負債額は22億ドル(約3427億円)にも上るという。

ソーラーパネル
写真=iStock.com/DiyanaDimitrova
再エネが普及するほど電気料金が上がる(※写真はイメージです)