“弟分”の吉村知事が哀れに思えてくる
第4は、国民の万博への関心の薄さである。大阪府と大阪市が昨年12月に実施したアンケートでは、
「アンケートで『万博に行きたい』と答えた人は全国で33.8%にとどまり、1年前から約7ポイント下落。ミャクミャク(万博のキャラクター=筆者注)であふれる府内に限っても36.9%で、2023年度の目標に設定した55%を大幅に下回った。ミャクミャクの人気にあやかるのにも限界がありそうだ。
チケットの売れ行きも芳しくない。万博協会が設定する販売目標は2300万枚。前売り販売は昨年11月末に始まったが、4月3日時点で約123万枚と、目標の6%にも満たない。前売り販売目標の約半数は企業購入分に頼っており、今後はどれだけ個人購入を促せるかが焦点となる」(47NEWS)
その上、今年1月には能登半島地震が起きた。共同通信が2月に実施した世論調査では、万博より復興を優先させるために、中止または縮小・延期するべきだという声が7割を超えた。
これほどの逆風を受けながら、吉村洋文大阪府知事は、「復興を理由に万博に反対するのは違う」と、強気の姿勢を崩さない。
兄貴分の松井氏や橋下氏が決めたことだから、弟分としては何としてもやり遂げるという任侠道に殉じるような姿には、哀れを誘うものがある。
前回万博の「月の石」のような目玉がわからない
それに、私が不思議に思うのは、いまだに「未来社会の実験場」というコンセプトなのに、万博の“目玉”が何になるのかわからないことである。
前回、1970年の大阪万博では、米国パビリオンの「月の石」だった。それを一目見ようと長蛇の列ができた。もう一度それを展示したらどうかという報道があったが、それほど今回の万博には目玉になるものが何もないのであろう。
少し前にテレビを見ていたら、今回の万博のために「人間洗濯機」なるものを開発したという人物が出ていた。
その人は、前回の万博で展示された「人間洗濯機」を開発したそうだ。たしかに、そんなものが話題になったことがあったような気がする。
その人が、最新のシャワーメーカーの協力を得て、未来型の人間洗濯機を完成させたから、万博に出展したいと話していた。
だが、半世紀前なら、そうしたものが驚きをもって迎えられたのかもしれないが、今は、カプセルのような狭いところに入って全身を丸洗いされるよりも、温泉に浸かってノンビリするほうがよほど優雅に思える時代ではないのか。
もしこれが万博会場に展示されたとしても、話題を呼ぶとはとても思えない。
こうした数多くの深刻な問題を抱えたまま、東京五輪と同じように開催されるのだろう。