嫌われる人の残念すぎる特徴

言いたいことをそのまま言って好かれる人もいれば、嫌われてしまう人もいます。嫌われる要因となる行動の一つに、「理由を言わない」というものがあります。先ほど日程調整の例に出した「私、火曜日は無理だから!」とだけ言ってしまう人もこれですね。

個人差はありますが、私たちの心には「意味のないことはしたくない」「正しい判断をしたい」という欲求があります。理由がわからないことについては、行動の原動力にもならず、判断に自信も持てません。反対に、何らかの理由さえ言ってもらえれば、「自動性」という心理が働いて、カセットテープの再生ボタンを「カチッ」と押すと、その後に「サー」という砂嵐音が流れるように、自動的になんとなく納得してしまいます。このような効果は日本では「カチッサー効果」と呼ばれ、深く考えることなく理解や譲歩を得やすい無意識の反応であることがわかってます。自分の意見を言うときには、とりあえず何らかの理由付けをしてみてください。

「一貫性」の欠如も嫌われる要因になることがあります。私たちは、ある程度、相手に一貫性を想定する傾向があります。昨日優しかった人は、今日も優しいだろうと想定します。また、私たちは、相手に受け入れてもらうために、ある程度は自分の話し方のスタイルを相手に合わせるという傾向もあります。昨日は機嫌のよかった上司が今日は不機嫌だった、昨日はフレンドリーに話しかけてきた人が、今日は他人行儀に敬語で……、といった波があると、ストレスを感じてしまいます。自分を中心において、言いたいことをそのまま言っているようでも、話し方のスタイルや人に接する態度が一貫していれば、周りもそれに慣れ、合わせた反応を取りやすくなり、聴く姿勢も持ってもらいやすくなります。

そして鋭い「語彙力」も、ストレートな物言いをする人の印象を分ける大切なポイントです。思い浮かべているイメージにぴったりな表現をできる語彙力を持っている人は、相手を納得させやすいだけでなく「気持ちがいい」と好感を持たれます。

心理学でマツコを読み解く

いわゆる「毒舌」でも人気とされる芸能人に、マツコ・デラックスさんがいらっしゃいます。たしかにズバッとした物言いではありますが、多くの世代から愛されている方です。どうしてマツコさんは人気があるのか、心理学的に紐解いてみたいと思います。

まず特徴的なのが、マツコさんがズバッと言い切ったその内容が、「ああ、私もそう思う!」と共感できるものや、「マツコさんだったらそう言ってもおかしくない」と思えるものが多いということです。先ほどお話しした確証バイアスや自己正当化欲求、同調や一貫性の心理も働いて、その明瞭な言い切りが気持ちよいくらいに感じられ、心も満たされ、楽しい気分にもなります。

また、マツコさんは豊富な語彙力を活かした言葉選びも絶妙。言語化されると思わず聞き入ってしまいますよね。自分を中心においた発言のようでも、確かな語彙力と傾聴力で、直接質問できない視聴者も置き去りにされることなく、安心してやり取りを見届けられます。

さらに、あれだけ切れ味鋭い物言いをするのに、会話の相手と意見が食い違ったときは、その意見を強く否定しません。これはとても重要なポイントです。「あなたはそうなのね。でも私は違う」と自分を中心において発言しながらも、相手も自分を中心において考え、発言することを当たり前のように想定し、尊重しています。

一見すると好き勝手言っているように思えますが、独善的ではない、とても魅力的な「自分を中心においた発言」なのだと思います。

徹底解剖! なぜマツコ・デラックスは毒舌でも好かれるのか