ダイエットのために脂質の少ない鶏ムネ肉ばかり食べる人がいる。管理栄養士の塩野﨑淳子さんは「偏った食事は健康に悪い。たしかにムネ肉はヘルシーだが、その分、肉で摂取できる栄養が乏しいことも知ってほしい」という――。
※本稿は、塩野﨑淳子『体に良い食べ物・悪い食べ物大誤解!』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
「たんぱく質の取りすぎ」に注意
肉や魚の主成分であるたんぱく質。たんぱく質は体を構成する細胞の材料になることはよくご存じだと思いますが、生理機能を調節する「ホルモン」や「酵素」などの材料にもなります。
たんぱく質が不足すると、筋力の低下や肌荒れ、傷が治りにくい、感染症に対する抵抗力が低下することもあります。高齢になればなるほど、たんぱく質の摂取が重要になります。
今はたんぱく質の重要性が広まり、意識してとっている方も多くなっています。ただし、肉や魚には脂質(脂肪)も多く含まれます。たんぱく質が大切だからととりすぎれば、脂質のとりすぎにもなります。
脂質は欠かすことができない
とはいえ、脂質自体は体にとって大事な栄養素です。健康に悪いイメージが先行して、なにかと悪者扱いされがちですが、脂質摂取は欠かすことができません。
細胞膜を構成する「リン脂質」という生体内分子になるので、脂質が不足すると皮膚の潤いを保つことが難しくなり、皮膚がカサカサに乾燥します。
また、ビタミンAやDなどの脂溶性ビタミンの吸収を助けます。
脂質は消化によって、さまざまな種類の脂肪酸に分解されますが、脂肪酸はエネルギー源にもなります。一時的に飢餓状態に陥っても、体内に体脂肪の貯えがあれば、それを分解して利用することができるのです。