「コンビニ飯は健康に悪い」という人がいる。管理栄養士の塩野﨑淳子さんは「『既製品ばかり食べているから不健康』とは限らない。手作りでも偏った食事をしていれば健康を害する」という――。
※本稿は、塩野﨑淳子『体に良い食べ物・悪い食べ物大誤解!』(すばる舎)の一部を再編集したものです。
「完璧な食べ物」は存在しない
「これひとつ食べれば完ぺき」という食べ物は存在しません。
栄養豊富と言われる食材も、とりすぎは良くないこともあるし、栄養がないと言われる食材にも役割があります。体に良い・悪いと単純に分けられるものではありません。
大切なのは「いろいろな食べ物を万遍なく、バランスよく食べる」ことです。
人の体にとって必要な栄養素やその働き、必要量を知ることが栄養学の基本です。
栄養素は大きく5つに分類されており、たんぱく質、脂質、炭水化物、ミネラル、ビタミンで「5大栄養素」と呼ばれています。
炭水化物、たんぱく質、脂質はエネルギー源になります。
たんぱく質が分解されたアミノ酸や、脂質が分解された脂肪酸は、エネルギー源になるだけでなく、体を構成し、ホルモンや酵素などの生理活性物質の原料になります。
ひとつの食品にはいろいろな栄養素が含まれている
ビタミンやミネラルは、体の代謝や生理機能を維持・調節するために必要不可欠です。どの栄養素も健康を維持するために大切です。
たんぱく質なら肉や魚、ビタミンなら野菜といったように、それぞれの栄養素が多く含まれる、代表的な食品があります。
ただ、栄養学の難しいところは、食品を栄養素ごとに単純に分けられないことです。
たとえば、「ご飯」は炭水化物に分類されますが、植物性たんぱく質が含まれています。たんぱく質と言えば「肉」を思い浮かべますが、たとえば牛肉は脂質や鉄も多い食品です。野菜もビタミンが豊富なだけでなく、カリウムや食物繊維なども含まれています。
ひとつの食品にはいろいろな栄養素が含まれています。肉だけ・野菜だけ、さらにはその種類も偏ることなく、さまざまな食品を食べることが大切です。