「食べ物の効果」の検証は難しい

テレビや雑誌などで「○○(食べ物)が病気に効く」と話題になり、食品売り場からその食べ物がなくなることがあります。

「食べ物の効果」を検証するためには、同じ条件の被験者を集め、効果に影響を与える、ほかの要因を極力排除して、客観的に検証しなければならず、とても難しいものなのです。

ある乳酸菌飲料の腸内フローラの研究報告によると、条件が同じ対象者を無作為に2群に分け、片方には「有効と考えられる乳酸菌を加えたドリンクA」、もう片方には前者と同じ味の「乳酸菌飲料風ドリンクB」を用意し、それぞれに一定期間飲んでもらって効果を検証したとありました。

乳酸菌飲料のおかげかどうかわからない

被験者は、自分がどちらを飲んでいるかわからないのです。Aを飲んだ人の腸内フローラがBの人よりも明らかに良い状態に変化しており、有効性が示せたなら、「効果があった」と考えられるでしょう。

しかし仮に、たまたまAを飲んだ人の中にヨーグルトや食物繊維が豊富な根菜類、豆類などを日常的に食べる人が多く含まれていたら、Aグループの結果は乳酸菌飲料のおかげなのか、日常的な食事のおかげなのかわからなくなってしまいます。

水色の背景に乳酸菌飲料のボトル
写真=iStock.com/vadimrysev
乳酸菌飲料のおかげかどうかわからない(※写真はイメージです)

したがって、こういった検証を行う場合は、乳酸菌飲料以外の食事も全員同じにするのが理想です。多くの被験者の食事を管理しなければならず、お金も時間もかかる壮大な研究になります。