驚愕の「ごみ屋敷」写真
床には足の踏み場がないほどごみが散乱しています。ペットボトル、惣菜のパック、紙くずやビニール袋、紙袋、脱いだ服……。壁の本棚や引き出しからも物が溢れて、雪崩のようになっています。窓のカーテンは半分ほどレールから外れていて、なぜか窓ガラスには段ボールが貼られています。
ごみに埋もれながらも、かろうじて顔を出しているソファには、妻が寝そべってスマホを見ている姿が写っていました。
Aさんは、自分が家事をすることは受け入れられても、それを超えて妻がむやみに散らかすこと、ごみを捨てようとすると怒ること、そして何よりも子どもがいじめを受けていることがつらいそうです。
Aさんが出勤前にごみ出しをすると、なぜか妻がごみ捨て場からごみを持って帰ってきて、中身をまたリビングに出してしまうこともよくあったそうです。
もちろん、掃除をしないだけでは法律上の離婚理由にはなりません。しかし、家がこれだけの惨状になっていて、何年も悩んできたのに、今後も我慢し続けなければならないというのはおかしいと感じました。
そこで、Aさんから依頼を受けることになりました。
妻に離婚を切り出しても拒否されたので、すぐに離婚調停を申し立てました。
妻は弁護士に依頼せず自分で調停にやってきて、「掃除を強制されて困っているが、子どものためにもやり直したい」といった弁明をしました。
調停委員も最初は「掃除をしない程度で離婚というのは……」と渋っていましたが、こちらが家の写真を証拠として提出すると、その態度が一変しました。家中がごみに埋もれているのを見ると、さすがにこれは正常ではないというのを感じたようです。
いくら言っても行動が変わらない妻
妻は相変わらず「やり直したい」「改善する」とは言っているものの、次の調停期日までに行動を改める様子もなく、こちらはその都度、現在の部屋の写真を証拠として提出しました。調停のたびにやり直したいと言いながら片づけをしないので、調停委員が「改善できないのではないですか」と言うと、妻は答えに詰まったそうです。
調停は1カ月から2カ月おきに行われますが、妻は毎回大幅に遅刻をしてきて、調停委員から求められた資料も全く提出しません。何より本人が不潔で、調停室に入ってくると異臭がしました。
調停が進むと、妻はようやく弁護士に依頼しました。弁護士は妻の「やり直したい」という気持ちに寄り添いつつも、妻の意思だけでは生活態度の改善が難しいことも理解し、片づけ業者の依頼や、通院の提案もしたようです。すると妻は、「そんな努力をするくらいなら離婚する」という考えに転じ、実家に帰ると言い出しました。
こうして、Aさん夫妻の離婚が成立しました。妻は最後まで親権について争いましたが、学校でいじめを受けていることも決め手になり、長女の親権はAさんが得ることになりました。二人暮らしをする中で、長女は少しずつ整理整頓ができるようになっていきました。