CGや合成を使わず「1枚の写真」に収める理由

――次はどんな作品に挑む予定ですか。

宇佐美雅浩さん
宇佐美雅浩さん(写真=プレジデントオンライン編集部撮影)

「Manda-la」プロジェクトを北海道から沖縄まで日本全国で撮影したいと思っています。私の作品テーマの一つに「戦争」があります。すでに広島では撮影していますが、同じ原爆投下のあった長崎や、アメリカとの地上戦があった沖縄、空襲で甚大な被害を受けた東京などで、作品を撮りたいと考えています。

私の「Manda-la」では、CGや合成を一切使っていません。実際にその場に多くの人を集めて撮影します。それは私にとって写真とは、1人で撮るものではなく、その土地の人々と一緒に作り上げるプロジェクトだからです。みんなで集まって撮影するには、多くの準備が必要です。1枚の写真を撮るために、膨大な時間がかかりますが、それらすべてが「写真を撮る」ということなのです。

戦争を知る人を撮るというのは、時間的にギリギリの挑戦になると思います。それでも、いまという時代だからこそ、じっくりと時間をかけて、人を集めて、写真に収められればと考えています。

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