データには表れない慶應の「学内カースト」
一方で、早慶にはデータに表れない違いもある。外部生(大学から入った学生)に対する大学内での評価だ。
慶應義塾大学には内部生こそ「本流」で、大学入学組は「よそ者」といった風潮があるという。しかも入学段階が早いほど位が高いとされ、幼稚舎組を頂点とする暗黙の「学内カースト」が形成されている(図表2)。
浪人までして、苦労して一般入試で慶應に入った学生の中には、学内で居場所がない……となってしまう人も少なくない。受験での苦労は日吉や三田では全く評価されず、内部進学の帰国子女や体育会の連中がただひたすら幅を利かせているのである(これはあくまで本キャンパスにおいてであり、理工学部やSFCにおいてはこうした傾向も弱まる)。
対して早稲田はこの点においては全く逆と言って良い。
結局、早慶どちらに進学すべきか
早稲田には、学生がサークルなどで「学生注目!」と発狂し、出身高校とともに自己紹介をするという茶番芸があるのだが、そこで附属校である早大学院や早稲田本庄といった校名が上がると、「裏口!」と揶揄されるというお決まりの流れがある。いくら難関の附属校に合格しようと、熾烈な大学受験を経験していない者は「裏口」扱いされてしまうのだ。
ここからも早稲田では内部生よりも、一般入試での入学者が偉いとされる校風が窺える。もっと言えば、「浪数」が多いほど尊敬されるといった傾向すらある(それもあって地方からの多浪組というのもいまだに存在する)。
そのため、大学から一般入試で入る場合は早稲田のほうが過ごしやすいという声は多い。ただ、慶應のカラーが合うという人もいるので、受験生には、このような「校風」があることを踏まえつつ、オープンキャンパスなど実際に足を運んで慎重に決定することをお勧めする。どちらも素晴らしい学校であり、「早慶どちらに進学すべきか」というのは、大変贅沢な悩みであるということは最後に付け加えておきたい。