「片道切符で日本の配送センターに飛ばしてやる!」

「判決文を精査しましたが、あまりにも不当というより杜撰な審理に愕然とし、怒りを覚えました。日本の司法がまさかこの程度のいい加減なものとは……。僕の主張には、すべてに揺るぎない証拠があるのです。メール、会話を録音した音声データ、それに義父母らとミツカンの役員、顧問弁護士らが策謀を巡らしていた秘密協議の議事録などなど。それも、一部ではなく膨大なものです。

それらは証拠として採用もされているし、それにともなった証人尋問でもそれらの証拠は偽造などでもなく本物であると認定されています。にもかかわらず、判決文では、そうした証拠にもとづく僕の主張の事実整理すら行われておらず、証拠を無視し、あえて判断を避けているとしか思えない内容になっているのです」

例えば、大輔氏の長男が生まれた4日後に和英会長が養子縁組届書に署名を迫った際に怒声とともに浴びせた「この場でサインしなければお前を片道切符で日本の配送センターに飛ばしてやる!」との言葉は、後日、和英会長と美和副会長、それにミツカン役員が謀議した際の録音音声データが証拠採用され、裁判でも発言を認めていたにもかかわらず、判決では「許容範囲である」としてスルー。

被告人が証言していないことまで判断している

また、同謀議でミツカン顧問弁護士が、大輔氏への配転命令が法的に不自然にならないように注意すべきであるとか、離婚させるタイミングなどについても詳細に意見を述べているメモも証拠採用されているものの、判決ではこれについての言及は一切なく、完全スルー。

大輔氏の代理人弁護士のひとりである野崎智裕弁護士もこう憤る。

「これだけ具体的な証拠の数々があり、被告側の証人尋問でも認めている事実が少なくないのに、そうした証言内容についてはほとんど触れていないという異常な判決です。

逆に、和英会長の『片道切符で飛ばす』云々の発言については、本人尋問でも発言を認めているのに、判決文では『(大輔氏に)カツを入れようとして言った言葉である』などと、発言した本人はそんな証言などしていないのに、まるで被告側に忖度そんたくしたかのような判断をしています。

加えて、大輔氏が“飛ばされた”先の配送センターは実は社内の異動ではなく別法人への出向であるから、労働基準法に照らしても本人への面接や説明が必須であるのに一切ないままの命令でした」

裁判所の看板
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