隣地に空き家があるだけで価値が下がる
筆者はこれまでにも限界分譲地における不法投棄や無断利用といったリスクについて伝えてきたが、無用な不動産を所有するリスクは、不法行為によるものだけとは限らない。
例えば限界分譲地は地価が安く、家屋を解体して更地に戻しても、その土地が解体に要した費用より高く売れる望みがほとんどないため、不幸にも火災に見舞われた家屋はそのまま残骸が残されていることが度々ある。
千葉県八街市朝日の売地の例を挙げよう。隣地の空き家が火災に見舞われたが、そのまま解体されることなく放置されている。
そのような荒廃した家屋が発生した瞬間、近隣に残されている売地の需要は極端に下がってしまう。更地にするなり、家屋を解体するなどしない限り、売地の条件は極端に悪くなり、ますます買い手は見つからない。地域によっては、隣地に家屋があるだけで大きく不利になることもある。
周囲が車両置き場になった200万円の土地
それまでは単なる空き地だった隣の土地が誰かに買われ、車両置き場や資材置き場に変わってしまえば、その土地の利用方法が適法であっても、周囲の土地は大きく価値を下げてしまう。適法である限り、土地がどう使われようが隣地所有者の自由であるため、限界分譲地の所有者は打ち手がない。