前頭葉の老化を食い止める、たった1つの習慣

では、前頭葉はどうすれば活性化できるのでしょうか?

どうすれば、「前頭葉バカ」を食い止めることができるのでしょうか?

ズバリ言いましょう。

それは、「これまでに経験したことがない新しい体験をすること」です。

先ほども述べたように、前頭葉の主な役割は、「感情」や「意欲」のコントロールです。

つまり、「感情」が揺さぶられ、「意欲」が湧き起こるような新しい体験をすれば、前頭葉も活性化されるというわけです。また、前頭葉は想定外のことに対応する脳だと考えられています。

訪れたことのない場所に行って、人生でこれまで見たこともなかったすばらしい景色を眺める。

あまり縁のなかった演奏会に足を運んでみて、これまで聴いたことがなかった音楽に触れてみる。

馴染みの友達ではなく、新しく初めて知り合った人と、いつもは行かないようなしゃれたレストランに行ってみる。

私たちはこうした「未知の世界」に触れたときに、「いったいこれは何なのか」と、好奇心を揺さぶられ、前頭葉が働きます。

湧き立つ好奇心は、意欲ややる気に火をつけて、さらなる未知の世界へと足を運ばせます。

こうして前頭葉が活性化してくると、ますます新たな経験への興味が湧き起こるようになります。

老化を防止するための何よりの筋トレ

50代にもなると、「今さら新しいことなんて億劫だなあ……」と腰が重くなりがちです。

和田秀樹『老後に楽しみをとっておくバカ』(青春出版社)
和田秀樹『老後に楽しみをとっておくバカ』(青春出版社)

しかし「新しいこと」を敬遠することが、あなたの前頭葉を劣化させ、老化が早まることにつながるのです。

筋肉と同じで、脳も使わない部分は衰えていきます。腹筋運動をすれば、お腹まわりの筋肉が発達します。スクワットをすれば、太ももの前方にある大腿四頭筋だいたいしとうきんや、お尻の筋肉である大臀筋だいでんきんが鍛え上げられます。

「前頭葉」を鍛えるのも、筋トレと同じことです。

これまで経験したことのないことをすることが、老化を防止するための何よりの筋トレとなるのです。

【関連記事】
【第1回】50代になったら「仕事の責任」は脇に置け…和田秀樹が「老後に楽しみをとっておく人はバカ」と説く理由
「脳トレはほぼ無意味だった」認知症になっても進行がゆっくりな人が毎日していたこと
「タンパク質をとるのにこれに勝るものはない」医師・和田秀樹が高齢者に強く勧める食材の種類
「ごはんにみそ汁、納豆、漬けものが体によい」は大間違い…日本人がもっと積極的に食べるべき"健康食材"
「血液型で病気リスクがこんなに違う」O型に比べ脳卒中1.83倍、認知症1.82倍…という血液型とは何か