雌牛は脂の融点が低い
雌牛が好まれる最大の特徴として、脂の融点の低さや風味などが挙げられます。
雌牛の脂肪には、人間の体内では作ることのできない必須脂肪酸である「不飽和脂肪酸」の含有量が多く含まれています。
去勢した雄牛と比べても、雌牛は脂肪の融点が低く、口の中でとろけるような味わい、それでいてしつこさのない、あっさりとした滑らかさを感じさせてくれます。
このように、食べれば最高に美味しい雌牛ですが、肥育の段階では大変な苦労があります。
雌牛を肥育する生産者は技術が要求される
雌牛は雄牛に比べて霜降りが入りにくく、性格的にもデリケートで、体格もそこまで大きくはなりません。
ここからもわかるように、牛の肥育という観点では雌牛は非常に繊細で難しく、必然的に雌牛を肥育する生産者は技術が要求されるのです。
これはセリの価格にも表れています。枝肉(内臓を取り除き、背骨から2つに切り分けた状態の肉)のセリでは「枝肉重量×単価」が1頭の値段になりますが、去勢牛よりも雌牛の方が単価は高くなるのが一般的です。
しかし、枝肉重量をかけた1頭の値段としては、去勢牛の方が高くなりがちなので、子牛のセリでは雌牛よりも去勢牛の方が高額になるケースもあります。